リラリオ

シック・オブ・マイセルフのリラリオのレビュー・感想・評価

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)
4.3
恋人がアーティストとして脚光を浴び、激しい嫉妬心と焦燥感に駆られた自己顕示欲激強女が自身を注目させるためにとんでもねぇ異常行動に出るマジホラーな物語。

オスロのカフェで働くシグネは人生に行き詰まっていた。
恋人のトーマスは、現代アーティストとして世間の脚光を浴びる→シグネは成功を手にしたトーマスに大嫉妬→「…クソ…自分も注目浴びてぇな…」しかし何者にもなれず悩んでいた→仕事に身が入らず物思いにふける→外にはおっさんと犬、テラス席のテーブルにはスズメ→突然…ワンワンワン!!犬の鳴き声→「ぎゃぁぁぁ」女性の悲鳴→「救急車呼んでぇ!お願い!」犬に首を噛まれ血だらけの女性が店内に逃げ込んでくる→すぐに女性の手当てをするシグネ、その様子を見つめる人々→救急車到着→「大丈夫ですか?怪我は?」→手当てで女性の血を大量に浴びたシグネに救急隊員が尋ねる→「私は…」→心配そうに見つめる女性、動画撮影する野次馬→人々の視線を浴び「あれ?なんか注目されてんな…」→警察の事情聴取→「私は本能で動いたけど…他の人は誰も助けなかった。みんなただ見ているだけで…」しかし真実は…手助けしようとした人を、近づけさせなかった→大嘘をぶっこくシグネ→「あなたが介助してくれてよかった!勇敢な行動です!伺いたいことは以上となります」→シグネは血まみれのまま、トラムに乗り帰宅する。

「私恐ろしい場面が得意みたい」「私がいなければ死んでたみたい」友人たちにしゃべりまくるシグネ→しかし注目は長続きせず、すぐに飽きられる→トーマス「お前、もう2週間たつよ…いい加減にせェよ…つうか個展のタイトルを相談したい」→「コタールでやるんでしょ‼️凄っ‼️」→友人たちの関心はトーマスの個展の話へ…

個展初日→激混みのギャラリー、主役のトーマスは大忙し→シグネは誰にも相手にされず、ぼっちになる→食事会→ここでもぼっちのシグネ→「すみません、食物アレルギーをお持ちのお客様は?」→「はい!私ナッツアレルギーっス!」→「特別な対応が必要ですね、シェフに伝えておきます」→シグネに注目が集まる→トーマス「はぁ?嘘だろ?」→若干注目を集めたが…またすぐぼっちに→トーマスの料理を横取り→「お客様!そちらにはナッツが!!」→「えっ!?大丈夫?」「病院に行った方が…」→皆が心配をする→「なんか…反応が…」咳をし、水を飲むホラ吹きシグネ→トーマス「…もう治まっただろ」→「大丈夫、軽い反応だから」
トーマスがスピーチを始める→「スポットライトは苦手だが…」自分を見つけ拾ってくれた恩人に感謝の気持ちを伝える→「え~芸術家とは本質的に孤独な作業をするもので…1人スタジオで自分を励ます。誰もいないんだから仕方ない、俺はこの孤独を受け入れる…」→スピーチを聞きながら、シグネは思い出す…2人で盗んだ赤いソファ…→トーマスは盗品に手を加え、作品として発表していた→「なんか…ムカついてきた」→咳をする→ザワザワ→そして発作を起こし、意識を失ったフリをする→「救急車を!!」→「ちょ…俺のスピーチを」→「お前、何言ってんだ!窒息してるのに!」→シグネの偽アレルギー発作騒動でパーティーはめちゃくちゃになる…

シグネはふと考える→人々の注目を集めるには…血→道端につながれた犬→「ほれ!噛んでみろ!」→犬にウザ絡み→飼い主がやって来る→「お前、何してる!ウチの犬にかまうな、動物虐待だぞ!失せろクソ女!」飼い主にブチ切れられる。

ある日、シグネはネットの記事で恐ろしい副作用を引き起こす違法薬物を知る→〝皮膚病の原因、ロシアの薬品リデクソル〟→顔や体がただれた女性たちの写真を見たシグネは「これや!」→学生時代の友人に頼み、ネットでリデクソルを入手→毎日摂取→しばらくすると腕に湿疹が…→「よし!」→ガンガン飲み続ける→摂取量も増やす→「お前、それどうした?腕と首…」→トーマスが発疹に気づく→「何コレ!!」わざとらしく驚く→「医者行けよ」
翌日、病院へ→「では、発疹を見るので上着を脱いでください」→「イヤです」→「はぁ?」→「話すだけでいい」→「発疹見ないと診断が…」→しかし絶対脱がねぇと医者を困らすシグネ→「…どうすんの?」→「彼氏がすぐ迎えに来るから、それまで話しましょ!」
しかし、いつまでたってもトーマスは迎えに来ず…

帰宅すると…自宅で取材に受けるトーマス→「何事?」→「D2の取材」→「なんで病院に迎えに来ない?」→「はぁ?トラムに乗って病院に迎えに来いってこと?」→「そうだよ」→「…そんなこと考えもしなかった」→「電話にも出ねぇし…」→「取材中だったし」→「私になんも聞かねぇのかい…」→「それじゃ…どうだった?」→「原因不明で…検査もたくさんして…」→「ふ~ん…」素っ気ないトーマス→「…」→トーマスはシグネの心配をするどころか、ノリノリで取材に応じる→シグネはまたリデクソルを大量に飲む…

結果、シグネの顔はパンパンに腫れ上がり出血、意識は朦朧とし…とんでもない状態になり、入院を余儀なくされる。
「もっと君に関心を持つべきだった」
反省し、シグネを心配するトーマス。
トマースの関心を引くことに成功し、充足感を得たシグネだったが、承認欲求は収まるどころか激しさを増していく…

まさに承認欲求モンスター 笑
これはヤバい…命懸けですな。
「原因不明の奇病」を装うため激ヤバ違法薬物の副作用を利用し、周囲の関心や同情を引こうとしたアタオカ女の悲惨な末路。
なんか意地の悪さがヨルゴス・ランティモスやオストルンドぽかった 笑
現代病をユーモアと皮肉たっぷりに描いた映画でオモロかったっス!
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