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シック・オブ・マイセルフのtakaeのレビュー・感想・評価

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)
3.6
承認欲求モンスターの成れの果て。

うーん、この日本版のポップなジャケットのイメージで観始めたけど、割とヘビーなお話でした。

他人からどう見られているかが気になる。
でも、自分のことを見て欲しい、認められたいという気持ち。そういうのって多かれ少なかれ誰にでもあると思う。

でもこの作品の主人公シグネは、見ていて痛々しいほど “私だけを見て!” “私を認めて!”という欲求がこれでもかってほど強い。
はじめは、おいおい、、、って苦笑いして若干引きながら見ていたけど、そのうち本気で笑えなくなってしまった。

これはもう、承認欲求云々ではなく病気の症状。

自分が怪我や病気であると偽装して、必要以上に周囲の気を引き同情を買うことで満足感を得る『ミュンヒハウゼン症候群』。これに他ならない。

誤解を恐れず書くと、病気や怪我(命に関わらない、ごく軽いもの限定)って、ある部分では自分の得になることもある。
「疾病利得」って言葉があるけれど、調子が悪い時ってみんな優しくしてくれるし気遣ってくれる。

いつもは怖いママが優しいとか(私か?)、普段何もしてくれない彼氏がご飯作ってくれて介抱してくれるとか。
だから、病気は治したいど潜在意識では病気のままでいたいと思ったりする。

それにしても、ここまでとは、、、

ただ、SNS全盛期の今の時代、フォロワー数とかいいねとか映えとか、そういうもので色んなことを測られがちな現代の承認欲求の塊を、凝縮してオーバーに表すとこういう感じになるのかもしれないなぁ。

なんか、疲れちゃうよね。

私は主人公のことが全く理解できなかったけど、承認欲求がないと言ったら嘘になるし、認めてもらえるとやっぱり嬉しい。
多かれ少なかれ人は誰かの視線を気にして生きていて、求められる姿、役割を演じているとも思う。

だから、人の目を全く気にせず生きていけたらどんなに楽だろうって、時々思ったりします。

盛大に話が逸れましたね(笑)

主人公にもその彼氏にも共感できずにイライラしたり、哀れだなぁって思ってずっと気分が良くなかったけれど、きっと今の時代だからこそのお話なんだろうなと思います。

色々なものに縛られずに、生きていけたらいいな。
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