とりん

青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ないのとりんのレビュー・感想・評価

4.0
2023年92本目(映画館38本目)

青ブタシリーズの最新作で劇場作品としては3作目。
主人公の梓川咲太は一学年上の恋人・桜島麻衣の卒業式を迎えたが、彼女を待っている際に七里ヶ浜で彼女の幼い頃の姿にそっくりなランドセルを背負った少女に出会う話。

咲太が主人公であるが、彼の内面、過去に踏み込んだのはこれが初めてな気がする。
これまでほとんど語られなかった母親との関係や妹・花楓と暮らしていく中で感じていた内なる想いなどが明らかになっていくのはシリーズを追いかけているものとして非常に惹かれた。
再び咲太が思春期症候群にかかり、まさかのパラレルワールド展開をしていくのは驚いたけど、これまで見えてなかった部分が見えたのは良かった。麻衣と同じ現象になったり、しっかりと布石を回収したり。
母としっかりと向き合う場面は思わず涙してしまった。
あの咲太が母親のことを嫌いになるわけないし、蔑ろになんてするわけがない、でも心のどこかではそう思ってたんだろう。
1人で引きこもった花楓の面倒をずっと見てきて、なんでもできるお兄ちゃんになっていった彼にとって、母という存在の意味を改めて自問自答しているようにも思えた。

原作ファンはもっと細かく描いて欲しかったという声もあったようだけど、未読の自分にとってはそこまで欠けているように感じなかったかな。
75分程度という時間をしっかり使って描かれているし、もちろんもっと深掘りして丁寧に描いてもいい気もするが、変に間伸びもしてないので観やすい。テンポ感はさすが。
本作で高校生シリーズはラストとなり、大学生編もアニメ制作が決定した。テレビアニメになるか劇場作品になるかはわからないけど、今後もこのシリーズは追いかけていきたい。
とりん

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