ゆう奈

せかいのおきくのゆう奈のネタバレレビュー・内容・結末

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

●テアトル新宿 完成披露試写会にて

時代劇と言えば幼い頃に父親が観ていたものを横で一緒になって意味もわからないまま観ていたくらいで、大人になっても普段は全く観ないジャンルだった為試写会に当選してから今日を迎えるまで本作品をしっかりと味わう事ができるのだろうか、、と不安だったけれど「今までにない時代劇」と言われているだけあって変な身構えをせずに柔らかく観ることができた気がします。

個人的に印象に残ったのは、3章終盤におきくさんが戸に耳をつけて自分の元にやってきた中次が帰って行くその足音を優しい顔をしながら静かに聞いていたシーン。既に喉を切られ声を出せない状態のおきくさんは自分の家に来てくれた中次に対して感謝の意を伝える為の「ありがとう」も呼び止める為の「ちょっと待って!」も言えないけれど「相手」からでる音は十分に耳を通して感じることができる。声と言う音を通しての会話こそできないけれど、そういった些細なことからでも相手の音を感じて堪らなく愛おしい気持ちになっていたんではないのかな、、と思いとても暖かい気持ちになった。その後の5章のおきくさんも中次に対する想いが日常のほんの片隅からも感じられとても乙女で可愛かったです(笑)
ゆう奈

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