このモノクロの映像には優しさが滲んでいる。
重傷を負い、声を失ってもくじけず懸命に愛する人への想いを貫く。
臭い、汚いと罵られながらも読み書きを覚え世界を変えたいと希望を捨てない。
武家育ちでありながら貧しい長屋暮らしをしている親子、蔑まれても必ず人々の生活に必要な仕事をこなし、生き生きと日々を送る青年たち。
この登場人物達の勇気と活力はとても純粋だ。
江戸時代は循環型。
現代のような便利さも無駄も無く、着なくなった衣類も排泄物も全てを大切に使えるものは使い切る。
植物も生き物も土に帰り、また新しい命を紡ぐ。
貧しくても美しく生きる
黒木華、池松壮亮、寛一郎、佐藤浩市。
現代劇のイメージの強いこの方々のモノクロ時代劇はノスタルジックであり、清々しい青春ラブストーリーでもある。
「この映画への思いが観た人達の肥料になる事を願っている」と仰られる制作陣の方々。
切ないほどの「愛してる」
胸に響かせ心の循環リレーをこの作品から貰って欲しい。