Kaorin

せかいのおきくのKaorinのネタバレレビュー・内容・結末

せかいのおきく(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ずっと"う"が出てくる。一瞬カラーにもなり、うわと思ったけど、段々気にならなくなったのが不思議。
章仕立てで見やすく、キャラクターもストーリーも良く、クスクス笑ったりじわじわと泣いたり。いい映画体験だった。

江戸の、究極の循環型社会をしっかり描いてて、これは中高生に見せた方がいいんじゃないかな。うちの子たち、こういう歴史を知らないと思う。
このテーマに挑んだ製作陣に拍手。

テアトル東京さんは、ロビーに衣装が展示されていた。スペシャルドリンク「おきくの甘さひかえめ梅ジンジャー」、すっきりしておいしかった。

内容。特段、黒木華のファンではないのだが、ほんとに黒木華は愛おしい。書を書く所作もきれいでずっと見ていたかった。寛一郎は掃き溜めに鶴的な容姿で、そりゃ黒木華、ひとめぼれだろって思わせる説得力。心が通じる時、ふと目を上げる表情がとてもよかった。言葉のない告白もしみた。
逞しく生きる池松壮亮がまた素晴らしい。
佐藤浩市は、トイレシーンもこなしてびっくりだけど、お上に反旗を翻した訳あり元武士の哀愁が全身から漂って、めちゃかっこいい。
石橋蓮司も。人生最後に自分の棺桶作るために素軽く引っ越してく姿が、江戸長屋の人にしか見えん。
お坊さんもいい味出してるなと思ったら、真木蔵人だった。お父さんに似てきたね。

せかい、という言葉、寛一郎は口にはしない。でも覚えたてらしい「青春」という言葉を何度も使う。
かなりの率で"う"が映ってるけど、瑞々しく美しいものを見た、という印象が残った。
稀有な映画。
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