フジマークス

せかいのおきくのフジマークスのネタバレレビュー・内容・結末

せかいのおきく(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

画面は基本的に白黒で描かれる。
各章のラストショットのみカラーになる。
映画全体を通して、引きの絵が多く使われているように思え、どこか遠いせかいを眺めているよう。
ラストショットは、カラーで描かれ、寄りの、被写体に近いショットが多かった。
文字通り親近感を得られるショットもあれば、もはやただ現代が映されているようにすら見えてしまう。

糞まみれになった矢亮と中次が、糞まみれにされたことに2人で笑い合っていた時、カメラはかなり遠いところから2人を眺めている。
しかし、矢亮が笑いながら突然土下座をした時、カメラは矢亮にかなり近づき、映像はカラーで映し出される。
中次が矢亮の姿を見て笑うのをやめたように、こぼれかけた涙が止む。覚める。

時代劇とはいえ、喋り方をとりわけ昔に寄せるような印象を受けない。そこに自由度があって、人物のふるまいや、考えは現代劇と大して変わらないように思える。それでいて身だしなみや仕草から日本の文化史的な要素を感じられて面白かった。
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