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せかいのおきくのlinus3のレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.9
モノクロが、逆に画面とストーリーに集中できた。
美術、音響もリアル?でよかった。

予告編の雨模様や雪の場面などが美しく、キャストを含め見てみたいと思った。
テーマはまじめな社会的なものだけれど変に説教臭くなく、出てくる人たちの懸命な姿に泣いたり笑ったりしながら楽しめた。

池松さんはセリフひと言でも、ぐっと心にくるものがあった。

実際に江戸時代に庶民が口にしないセリフも、監督はあえて使ってるらしい。
バティのふたりのやり取りがポンポンとテンポよく微笑ましいものになってた。
おきくも健気でかわいらしかった。

印象に残ったところ
・3人が雨宿りで出会う場面
・矢亮が必死にこぼれたものをかき集めるところ
・おきくの父親がセカイについて語る場面
・長屋の人たちがおきくをいたわって次々と声をかけていくシーン
・心配して追いかけてきたおきくに矢亮が言葉を返すところ
・おきくと中次が雪が降り始めるまで、言葉にならない思いを伝え合う場面
刀での切り合いのシーンがなく、武士が去った後におきくの父親の視線からおきくが遠くに映るカットも印象的だった。
長々説明的でないのに、たくさんのことが表現されていた。
武士が傘をとって一礼する演出も宮仕えの苦しさが出てたと思う。

雨の中から始まった3人だけれども、最後の晴れた空のもと笑って、広いせかいを信じてしあわせになったらいいなと思った。

また、映画館に見に行きたいと思った。
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