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せかいのおきくのコマミーのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.9
【せかい】


※汚い言葉連発してすみません。



まず第一の感想としては、思っていた以上に"ウンコ"のシーンが出てきてビックリしたw
そうゆう背景を映画にしているとは聞いていたが、全編ほとんどウンコがバックに出ている物語である。この頃の"糞尿の処理"は大変だっただなって素直に尊敬した。今ではバキュームカーがトイレの浄化槽に溜まった糞尿を処理してくれるが、当時はひしゃくみたいなものを使って、穴に溜まった糞尿を掬い上げて長い桶に入れて、金持ち農家に持っていってその糞尿は肥料にしてリサイクルする。これが江戸時代の"最下層の飯の種"だなんて凄いなと感じた。
そんな糞尿処理の仕事に就く"中次と矢亮"が時に挫けながらも、"前向きに生きる姿"にも素直に尊敬した。"兄弟に似た"その姿は、時に愛着も湧いてくる。
特に中次の"おきく"への"恋"も、この最悪な世界の中に"色を与えてくれる"ような、そんな印象を感じさせた。

おきくは本当に"強い女性"であるし、寺子屋で生徒達に読み書きを教える事が出来るほど"頭が良い"。時折見せる、照れや嬉しさ、悲しさ…このおきくの"様々な表情"もこの物語の色であり、おきくにとって確かに限りない"世界がまた広がること"を提示しているようにも見えた。

そして本作は基本モノクロなのだが、時折"カラーのシーン"も出てくるのだ。
その意味も分かった頃には、本当にこの作品の美しさが分かるのだなと感じた。

クソみたいな世界に色をつける。
小さな世界であっても、人と人が出会えば限りない世界が広がる。阪本監督もここにきて随分挑戦的な作品を作ったなと感じたし、表現もとても粋なものであった。

私も何か辛い事があった時は、おきくさんや中次や矢亮を思い出そうかなと感じました。
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