Yoshihiro

せかいのおきくのYoshihiroのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.5
見たことのない世界が描かれていた。

特報ですごいタイトルを付けたなと思って引き込まれた。『せかいのきおく』全編白黒の時代劇にどんな世界の記憶が秘められているのかと思ったがこれが私の読み違いで『せかいのおきく』だった。これまたすごいタイトルだと思った。鎖国していた江戸時代に世界なんてものを女性が感じたのだろうかと。

まさか貧乏武士の娘と肥拾いの青年の恋物語とは思わなかった。貧困層に生きていてもたくましく生きる若者たちや賑やかな長屋の人々から感じる何気ない所作や態度のなかに人を思いやる気持ちを感じる清々しい作品であった。せかいとはあっちの方へ行けば必ずこっちのほうから戻ってくるということ。人への思いやりは必ずめぐりめぐっているのだと思わされた。
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