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せかいのおきくのmakoのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.9
《おれは せかいでいちばん おまえがすきだ》
◎79点

監督・脚本: 阪本順治。

【登場人物】
✤22歳のおきく(黒木華)は、武家育ちでありながら今は貧乏長屋で父と二人暮らし。ある時、喉を切られて声を失ってしまう。
✤中次(寛一郎)は、元紙屑買い。矢亮と出会い下肥買いになる。
✤矢亮(池松壮亮)は、江戸で糞尿を買い肥料として農村に売る下肥買い。
✤松村源兵衛(佐藤浩市)。おきくの父。元勘定方。昔の因縁で命を狙われる。
✤孫七(石橋蓮司)。おきくと同じ木挽町の長屋に住む元早桶屋。

章立てで構成。
序章は、「江戸のうんこはいずこへ」。安政五年江戸晩夏から終章は何年だったか。メモに書いてなかった😅第7章は万延元年冬でした。約三年間が描かれていたと思います。

矢亮は下肥屋なので糞尿がたくさん出てきます。観ていて臭ってきそうなほどですが、モノクロなので観やすかったです😅
でもカラーの部分も出てくるのでご注意を⚠️

糞尿を集め買取り、農家に売る。
農家はそれを肥料とし畑に撒く。
汚い仕事だが、生活する上で大事な仕事。
社会にとってなくてはならない仕事だが、見た目から蔑まれている。
それでも矢亮は気にせず力強く生きている。人に何と言われようとこの仕事にプライドを持っている。自分達がいるから世の中が回っていると思っているから。
実際その通りなんだよね。
所謂3Kと呼ばれる仕事は敬遠されるけどその仕事をする人がいるから社会は回っていく。

おきくは武家育ちだがお高くとまることはなく、矢亮や中次と偏見なく接する。
心根の優しい人で、その優しさに涙が溢れた。

下肥買いの二人、おきくや長屋の住人たちは、貧しいながらも生き生きと日々の暮らしを営む。

今は辛くても夢があり、その実現のために頑張る人々の姿が描かれていて、私も頑張ろうと思えた。
いい映画でした。

江戸時代は現代のSDGsの先駆けをやっていた時代。古着のリサイクルもこの時代にあったそうです。
SDGsと言いながら、利権が見え隠れするエセとは違う江戸時代のエコを見習うべき。

【追記】
肉体労働で人の役に立ってる仕事は軽んじられ、賃金が安いのはおかしいと思う。
汗水垂らして働く人たちを下に見て、キレイな仕事をしてる人たちの方が年収が高いっておかしいと常々思っています。




📝メモ
この映画のテーマについて企画・プロデューサーの原田満生は、「江戸時代は資源が限られていたからこそ、使えるものは何でも使い切り、土に戻そうという文化が浸透していました。人間も死んだら土に戻って自然に帰り、自然の肥料になる。人生の物語もまだ、肥料となる。自然も人も死んで活かされ、生きる。この映画に込めた想いが、観た人たちの肥料になることを願っています。」と語る。

本作は、気鋭の日本映画制作チームと世界の自然科学研究者が協力して、様々な時代の「良い日」に生きる人々を描き「映画」で伝えていくYOIHI PROJECTの第一弾作品。





観客 1階席 1人+?、2階席 2人
劇場鑑賞数 #75
2023鑑賞数 #81
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