タロ

せかいのおきくのタロのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
4.0
市井の人々の慎ましい暮らしを描いた、静かな映画でした

おきくは、自分の大切なものを失ってしまったけれど

その分、人の優しさをそれまで以上に貰えたのは、それまでのおきくの蓄えだったのかなと思いました

真木蔵人さん演じる和尚と、子供たちの声に、涙が溢れ出るのに笑って

ばかなおきくが可愛らしくて

長屋のみんなも、暮らしは慎ましいけれど、心は豊かで

中次はどうしておきくにあんな伝え方をしたのかな
言葉で表すことなんてできないくらい、おまえが好きだ、って言いたかったのかな

もう、どの役者さんからも優しさが滲み出ていて、泣き笑いの90分だったけれど

石橋蓮司さんが特筆すべきでした

ぼくの中では、ドクターコトーのさちおじが印象深く残っていますが
こんなにも人の心を打つ演技をされるのですね
ぼくも、蓮司さんと同じように年を重ね、人の優しさがより沁み入るようになりました

この世に尊いものがないなら、人の存在理由はない

ふと、山本周五郎さんの時代物が心によぎりました
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