市井の人々の慎ましい暮らしを描いた、静かな映画でした
おきくは、自分の大切なものを失ってしまったけれど
その分、人の優しさをそれまで以上に貰えたのは、それまでのおきくの蓄えだったのかなと思いました
真木蔵人さん演じる和尚と、子供たちの声に、涙が溢れ出るのに笑って
ばかなおきくが可愛らしくて
長屋のみんなも、暮らしは慎ましいけれど、心は豊かで
中次はどうしておきくにあんな伝え方をしたのかな
言葉で表すことなんてできないくらい、おまえが好きだ、って言いたかったのかな
もう、どの役者さんからも優しさが滲み出ていて、泣き笑いの90分だったけれど
石橋蓮司さんが特筆すべきでした
ぼくの中では、ドクターコトーのさちおじが印象深く残っていますが
こんなにも人の心を打つ演技をされるのですね
ぼくも、蓮司さんと同じように年を重ね、人の優しさがより沁み入るようになりました
この世に尊いものがないなら、人の存在理由はない
ふと、山本周五郎さんの時代物が心によぎりました