Kazu

せかいのおきくのKazuのネタバレレビュー・内容・結末

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます


安政五年から文久元年を舞台に、江戸幕府、崩壊寸前の数年を描いた作品です。

お上のゴタゴタなど市井の人々は知る由もなく、日々の暮らしに精一杯な様子をリアルに映像におさめられていた。

視点がとても面白い、日本のトイレ事情は世界でもトップクラスで素晴らしい。
しかし、今作は汲み取り便所を主役に抜擢している。
排泄分を回収して有機肥料として農作物を作る。
現在見直されている循環型社会。

言葉で言うのは簡単だけど、汚物を汲んで桶で運ぶなんてこんな重労働を今では誰がするのでしょうか?
中次と矢亮、若者は生きるために人が一番嫌がる事を生業と受け入れる、臭い汚いと言われながらも生き生きしている。
お天道様を拝む、
お地蔵さんを拝む、
柏手を打つ、
お辞儀をする、
貧しい時代、貧しい生活なんだけれど人間の心が豊かで、今よりもずっと血の通う暖かさを感じさせられました。
幸せって?生きるって?
もっとシンプルに考えていた、とても良い時代だったんだなぁ…
おきく演じる黒木華は結い髪が本当にお似合い、そして池松壮亮、寛一郎の演技は期待以上だったと思います。

素朴な暮らしを振り返り、私たちは資源の大切さをもっと身近に捉え、生き方を変える時に来ているんだと痛感しました。
Kazu

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