てっちゃん

日の丸~寺山修司40年目の挑発~のてっちゃんのレビュー・感想・評価

3.7
こんなタイトルの作品なので、いろんな意味で楽しみにしていた作品です。
この日は連続で劇場鑑賞するので、それだけで楽しみなんです。
そんなわけで1本目です(2本しか観てないですが、、)。

さて「日の丸=国旗」について、とあるところから引用です。
”「日の丸」の白地に赤い丸が付された単純明快なデザインは、素直な心(白)と「日出る国」の象徴である太陽(赤)を表現したもので、平和への願いと感謝の気持ちがこめられています。”
と記載されています。

私はこのあたりの知識が全くないので、なにが正解か分かりませんが、なんとなく思っていたことと重なる部分もあれば、本当かいな?と思う部分もあり、少し感じる”不気味さ”があります。

「日の丸といったらまず何を思い浮かべますか?」
「日の丸の赤は何を意味していると思いますか?」
「日の丸はどこに掲げたら美しいと思いますか?」
「あなたは国と家族どちらが大切ですか?」
「あなたは外国人の友達はいますか?」
「もし戦争になったらその人と戦うことができますか?」

このような質問が矢継ぎ早に繰り出され、機械的にされていきます。
本作のポイントとしては、TBSが50以上年前に製作した「日の丸」を観て衝撃を受けた、本作監督のTBS佐井監督さんが、現代で同様なことを行ったらどうなるのかを撮っている点です。

さらに付け加えておきたいのは、そこに佐井監督さん自身の思いなり、気づき、疑問を含んでいるという点です。
そこが個人的にはとても良かったし、そうすることが"現代的"であるとも思いました。

注目しておきたい点は、矢継ぎ早に機械的に無作為に街行く人々に普段考えないような質問していくという点。

考えさせる隙間を与えないこと。
隙間を与えないからこそ、間とか表情とか言葉選びとかから、その人の真の答えを導くことができる、、とのこと。
なるほどなと思いました。

しかし佐井監督さん同様に、これを観て感じていた疑問がありました。
これは質問する側についてはどう捉えればいいのだろうか?ということです。
実際に当時インタビューしていた方は、かなり叩かれてしまったようです。
製作側の指示を遵守しただけなのに。

前述したように、そこに佐井監督さんは切り込んでいきます。
いろんな角度からの意見を聞きます。どんどんと掘り下げていきます。
一方通行にはなっていない姿があって、そこに私は共感したのです。

本作パンフにもその姿勢は貫かれているように感じました。
特に堀江秀史さんのコラムは必読です。
本作を鑑賞した後の補完としてもちろんですが、一歩も二歩も踏み込み、まさに"批評"な文章と内容で、こうでないといけないよな!と勇気をもらえます。

"日の丸"について、何を考えるのか?どう感じるのか?とかそれらについてどう思うのかというよりも、自身の考えを持つということ、それを意見するのは自由であるということ、そこに恐れを持つ必要はないということ、それらの意見に対して耳を傾けてみるということ、きちんと話し合いをするということ、そこに新しい発見ができるかもしれないということ。

そんなことを考えた作品でした。
てっちゃん

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