トゥーン

日の丸~寺山修司40年目の挑発~のトゥーンのレビュー・感想・評価

3.3
1967年のドキュメンタリーが見たくなる。今回は明らかに街頭インタビューが少なく、この結論は寺山修司ありきに感じる。あなた方の思い描いている祖国というのは虚構であり、あの日の丸は実のところ空洞である。だからこそ、日の丸についてどう思うかを問い続けたいのだと。
しかし、1967年と現代ではこの質問の意味するところは大きく違うだろう。日の丸に対する社会的な想いと一個人の認識のズレをあぶり出すには、現代ではあまりにも日の丸を意識する機会が減ってしまった。日の丸はどうでもいい存在になっているから、簡単に誇りに思えてしまう。1967年の制作背景を追うよりも、現代の意識や想いにフォーカスしてほしかった。
あと、一つ気になるのは、SNSでの日の丸国旗の写真を送るよう促し、効果がなかったことに、SNSの発言者はあーだこーだ言っていても、実際は単なる空洞ではないかと推測している。しかし、そもそもSNSでのフォロワーが88人しかいない状況下でどんな発言をしても、誰も知らないのだから、土台無理な話ではないか。ここには、監督の恣意性が見えた。
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