mt

日の丸~寺山修司40年目の挑発~のmtのレビュー・感想・評価

2.2
寺山修司が構成したテレビ番組についてのドキュメンタリーということで、当然興味はあったんですが、劇場では見れず、アマプラ見放題でようやく視聴。
うーんなかなか挑発的なテーマではあると思うのですが、そもそもの寺山が構成した番組については断片ばかりをチラチラ見せられつつ、そのパステュースを現代でやってみるという構造が、こちらとしてはそもそもオリジナルはどうだったのかということが気になってしまうので、ちょっと内容が入って来づらい形になっちゃってるのかなと思いました。
また当時インタビュアーが女性だったから成立したような気がするのですが、それを男性でやっちゃうと、ちょっと威圧感が出ちゃうというか、インタビューを受ける方の感じも違っちゃうのかなと思っていたのですが、そのへんの理由については後からちゃんと回収されていました。
作中にもありましたが、寺山は質問自体が作品としていたので、この作品でもなんとなく考察して結論めいたものをだすというよりかは、そのへんは曖昧にして結論は見た人に託すみたいな終わり方でも良かったと思います。SNS上では番組について批判してくる人たちも、問いかけ返すと消えてしまうというのも、大衆というのを一絡げに見てしまっているような気もしないではない。
たまたま今自分が読んでいる本とリンクしたのですが、なんとなく、寺山が問いかけたかったのは、日本が戦後近代化していくなかで、日の丸や天皇や自分自身が近代人として、あえてその役割を演じ続けられるかどうか(市街劇にも見られる)超越的なものを捨てて、全ての役者が入れ替え可能な状態の中を生きていけるのかということを、天才としての嗅覚で感じ取り、日の丸、天皇の意味について言葉として引き出すことで、社会へ突きつけたかったのかなと思いました。
またちょっと話変わりますが、40年も時間が立つと、日本人も喋り方や顔があんなに変わっていくんですね。
mt

mt