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658km、陽子の旅のコマミーのレビュー・感想・評価

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)
3.9
【傷つき、苦しみ、向き合う旅】



※fans voice様のオンライン試写会にて鑑賞





「夏の終わり」や最近だと「#マンホール」で高評価を受けた"熊切和嘉"監督と「バベル」などで世界的に活躍する"菊地凛子"がタッグを組み、"フリーターの女性"が長らく疎遠だった"父の葬儀"に向かう為、慣れない"人との交流"いわゆる"ヒッチハイク"を兼ねて、青森まで"658km"もの旅路をする事になるロードムービーだ。

まず本当に菊地凛子さんの演技がとても凄かった。他人との会話がおぼつかない"就職氷河期の女性"という事で、とても難しい役どころにも関わらず、あの終始"虚しそうな表情"とオドオドとした仕草を表現できるなんて、まさにこの瞬間、菊地凛子さんのハリウッドなどで鍛えられた極めつけの演技に圧倒された。
そして主人公の亡き父の"若い頃の姿という幻影"を演じた"オダギリジョー"さんの演技も凄かった。主人公にとっての"障害"でもありながらも、実は主人公にとって"向き合うべき愛すべき存在"を演じたオダギリさんの演技も高く評価していいのでは?と感じた。

そして改めてこんな凄まじい雰囲気のロードムービーを想起させるなんて、熊切監督は改めて凄いなと感じた。時代に取り残された人間が踠きながらも前へ進もうとする物語を生み出せる、まさに鬼才だなと感じた。

これは劇場でちゃんと堪能すべき作品だなと感じた。
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