このレビューはネタバレを含みます
オーディションで、蘇我によりベニスの商人のシャイロックになぞらえられた山井が、蘇我の「心臓の肉」を取り出しその「代わり」となって物語（芝居）が進む。蘇我が長年のメンバーたちを洗脳し、自分自身さえも投じて、求めるREALLIVEを展開するキーパースンを、選ばれた代理たる山井が演ずる……そんな、シェイクスピア劇のいろんな要素を落とし込んで物語が組み立てられるさまに、興奮しっぱなしでした！ 竹中直人演ずる政治家＝国を動かす彼に、王（皇帝）たるハムレットやシーザーが関わる……ハムレットのTo be, or not to be, that is the question.はいろいろな日本語訳があることで有名だけれど、その台詞のアレンジの含みにぞくぞくしたし、そんなシェイクスピア悲劇の残酷さを真っ向から描くような、お互いを殺し合う血まみれ殺し合いシーン！ 真夏の夜の夢は喜劇だけれど、実は結構怖いよね……？と思ってましたが、三浦海里くんの怪演がとても嵌まってました。登場人物がみんな性格悪すぎて最高だし、それでこそ「芝居に魂を売った（蘇我により売らされた）者たち」の狂った姿であり、ラストは結局すべて蘇我の手のうえ……？ 騙されたのは私たち観客？ 「あんた、サイテーだ」は「最高」という意味だととらえました。ヤバい、にある表裏の意味みたいに。そんなメタも含めた仕掛けの素晴らしさも、川尻恵太脚本の面白さに取り込まれる。蘇我＝オーベロン、そして皆のファムファタルたるヒナコは、オセロの妻デズデモーナ。蘇我とヒナコの、名前の出どころが知りたい……そして、蘇我の俳優さん誰なの？というのが気になって仕方ない！ ポスター含めて、絶対に顔が出ない演出が憎い。
