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ゲネプロ★7のnetfilmsのレビュー・感想・評価

ゲネプロ★7(2023年製作の映画)
3.2
 イケメン揃いのそのビジュアルで、若者から絶大な人気を集める7人組ユニットその名は「劇団SEVEN」。今回は王道のシェイクスピア劇の主人公、ハムレット、シーザー、リア、オセロ、マクベス、ロミオが入り乱れ、真の主役を奪い合うという話題の新作舞台『シェイクスピア・レジェンズ』の準備に向け、新たなメンバー、山井啓介(三浦海里)の加入を控える中、カリスマ的リーダーの蘇我が急死する。蘇我を失ったことで微妙に変わる七角形のバランス。2週間後にはこけら落としとなる自分たちの新劇場で新公演の幕が開くが、劇団は何か歯車が崩れ始め、互いのミスを責め合い、稽古には身が入らず、信頼関係に亀裂が走る。幕間の受難劇と申し上げれば良いだろうか。新メンバー山井啓介(妖精パック)(三浦海里)の視点で語られる物語はグランド・ホテル形式で、国会議員で劇団の裏の顔である竹中直人の申し伝えもあり、とりあえず陣内康史(ハムレット)(和田雅成)が蘇我の不在を補うのだが彼の穴はあまりにも大きく、10年にも及ぶ活動歴は功を奏さず、しばしば軋轢を生む。とはいえ急逝したカリスマの彼女を劇団員3人が取り合うとは穏やかではないが、カウントダウンの際に映る工事現場のデジタル画像のデータはいったい何なのだろうか?

 カリスマ的リーダーの蘇我を失ったことで、同志たちはしばしば疑心暗鬼に陥いる。演技の方法論は人により様々なのだろうが、それぞれが蘇我不在を感じずにはいられない。然しながら新しい劇場のこけら落としでは「劇団SEVEN」の未来を待つファンが大勢集まる。幕間モノは何よりも美しく、冒頭からじんのひろあきの『櫻の園』のような美しく厳かな展開を期待したのだが、何だか途中から各人の無理難題のレベルが随分下世話なところに行ってしまった気もする。オーディション番組「主役の椅子はオレの椅子」で優勝した三浦海里が山井役で主演を務め、共演には和田雅成、荒牧慶彦、佐藤流司、染谷俊之、黒羽麻璃央、高野洸ら演劇界で活躍する若手俳優が集結した今作はそれぞれに見せ場が用意され、ファンにとってはこれ以上ない楽しさだが、不在のメンバーを山井が代理した時点でもう先は読めてしまった。中盤までの青春群像劇感には堤幸彦の良い頃のドラマのような高揚感もあるにはあるが、クライマックスが随分陰惨で客を選ぶ。そもそも彼らに向けられた照明の人工的なデジタルな映像が逆に、彼らのリアルな名演を阻む悪循環。中盤以降、メンバーに話し掛ける蘇我の描写は首から上が明らかにされることはなく、何だか深夜アニメを観ているような感覚に陥る。殺陣もあり演者の熱演も光るが、とても映画と呼べる代物ではない。しかも新劇場って立ち見なのね。
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