あっこ

ゲネプロ★7のあっこのレビュー・感想・評価

ゲネプロ★7(2023年製作の映画)
5.0
現実の人間関係と、舞台の役柄をリンクさせ、演者が本気になれる演劇を作り上げた。

劇団のリーダーである蘇我が死んだようにみせかけて、全員がお互いを疑心暗鬼にさせるような出来事が連なって起こる。生前蘇我が、それぞれにかけていた言葉も、全員が蘇我を信頼し、尊敬し、カリスマ的存在として認めていたからこそ、いなくなったときに、本心がみえるものとして効いてくる。(一対一のときにしか話していないことなので、本人にしかわからないことであるし、自分が1番蘇我に目をかけてもらっていたと、全員が思っている。)

蘇我はおそらく、自分中心で回っていた劇団sevenを、それぞれの役者の個性や潜在的才能を引き出すために、あえて極限の状態を演出したのではないだろうか。

自身のキャリアに対しての焦燥や不安、蘇我がいない舞台を行うことへの恐怖心など、互いの様々な思いが交差して、人間の生々しい感情がふつかりあった舞台ができあがった。

非常にスリリングで、スピード感溢れる素晴らしい作品でした。
あっこ

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