新潟の映画野郎らりほう

春のめざめの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

春のめざめ(2006年製作の映画)
5.0
【「ツルゲーネフ/初恋」に初恋】


恋は実像無く無限に増殖する[夢幻]だろうか。

「ツルゲーネフ/初恋」をモチーフに同時代風潮への模倣と憧憬が 恋愛初心者の少年に[心の覚醒]を喚起する。 高まる性衝動を嫌悪し 潔癖に抑制する事で恋はよりPlatonic(精神)化し詩的で崇高化するが、実像/現実と掛け離れ夢幻化する…。 現実を目にし その落差に自己思考内恋愛の正体を知る ~ それは「初恋」への初恋ではなかったか…。

女性崇拝 / 恋は歓喜と悪夢が同居する熱病 / 二人の女性による虚実の圧倒的皮肉 / 恋を知る以前には二度と戻れぬ人生の変容~等、ツルゲーネフの精神を完璧美術・究極技術で体現。
時を越えた文学と絵画の幸福な邂逅である。




《生涯最高峰級認定/DVD観賞》