ベビーパウダー山崎

チャンピオンズのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

チャンピオンズ(2023年製作の映画)
3.0
いつのまにか分裂して(『ふたりにクギづけ』ばりに)各々の道を歩きだしたファレリー兄弟だが、一人になったからといって際立つ個性(センス)で新たな作品ということもなく、良くも悪くも兄弟時代の延長線上。
不謹慎な笑いはすでに現代的な娯楽には難しく、作り手も当然その辺りは意識していて、00年代ごろのデタラメな勢いみたいなのは流石にないが、ちょくちょくと「おふざけ」は忘れていないし、なによりいまだに社会的弱者の物語でアメリカ映画を正面から撮り続ける姿勢は評価していくしかない。
24時間テレビ的な弱者に寄り添うふりをした薄っぺらな美談=搾取ではなく、障害があろうとなかろうと、一人一人の「個」と向き合いドラマを描くのはファレリーだからこそ。乗り越えなきゃならん壁は誰にでもあるわけで、そこで逃げ出すか戦えるか。前向いて生きているだけでチャンピオン。
ウディ・ハレルソンは『キングピン』以来か。リアルな知的障害者の子どもたちの世界に自然と溶け込むハレルソン。改めて良い役者だと思った。その不甲斐ないチームをぐいぐいと引っ張るダウン症の少女が格好良くてグッドジョブ。