TK

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜のTKのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

全体的にカジュアルに見れて楽しかった。
擦れた悪役の描写の仕方や、彼と視聴者に対する強めのメッセージは人を選ぶ。
このメッセージで改心するならこんなに擦れた性格にはならないだろうと思う。
素晴らしいのは、強めのメッセージを伝える映画にふさわしく、暴力もスケベも見事に描き切っている部分。
しんのすけは殴られる、かすかべ防衛隊のメンバーもキツめの暴力を振るわれる、信じられないくらいいじめっ子がちゃんといじめをする、おっぱいは揺れるし何度も胸を揉む。
悪意と暴力の恐ろしさに対しては、相対する悪意と暴力で敵う訳ではない。
それらに対して屈しない、負けない気持ちとそれを育めるような環境があって初めて抵抗できる。
そういった環境も友人も家族も得られず、救いのないまま悪意にズブズブと堕ちていく悪役の描写には目を見張る。
素晴らしいのは、幼い頃にいじめていた彼の事を覚えてもいない30にもなった社会人が、いまだに自分よりも下に見ている者をいじめながら合コンに通っており、彼らに対する制裁やスカッとジャパンは一切無いことだと思う。
全体的に思想が強くて私は好きだけど、スッキリしないし楽しい話でもない。どちらかというと暗くて悲しくてリアリズムだが、それでも希望を捨てずに生きようと必死にもがき続けるしか無いのだという映画だった。
TK

TK