フジタジュンコ

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜のフジタジュンコのレビュー・感想・評価

1.4
私が30年もの間愛し続けてきた「クレヨンしんちゃん」の映画に、こんなスコアをつけさせた大根仁、絶対に許さない。

私がどれほどしんちゃんを愛してきたか、しんちゃんとともに生きてきたか、過去作品のレビューでしつこいくらいに書いてきたのですが……2023年劇場公開作品でワーストとなりそうな映画が「しんちゃん」なことに、臍を噛む思いです。


映画「クレヨンしんちゃん」は、あくまでも、小さい子どもたちが楽しむものです。
ふだんはポップコーンのバリバリ音やスマホをピカピカされることにイライラする私も、しんちゃんの上映に関してはこんなこうるさいことなど言いません。むしろキッズたちがはしゃいで、笑って、声を出して、バタバタして、歓声を上げてくれるのが嬉しい、それが「しんちゃん」の劇場体験なのです。

しかし、私を待ち受けていたのは、これまで培ってきたはずのしんちゃんの躍動感をすべて殺したCGアニメーションと、退屈で凡庸で説得力のないストーリー、私のうしろに座っていたファミリーのご両親の爆睡と、退屈なシーンに静まり返ったもののいくばくかして飽きてぐずりだすキッズたちの声でした。私ですら、しんちゃんを見ていて寝そうになったのは初めてです。
昨今の邦画のクオリティが低いということは決して言いたくありませんが(白石晃士監督や、阪元裕吾監督のような綺羅星が存在していますので)、こんなにも、こんなにもクソつまらない作品を「しんちゃん」で作ってしまえるなんて…

悪かったところ:
① 3D CGのクオリティがしんちゃんの世界と噛み合っていない
アニメのしんちゃんに特有の、というかこれこそがしんちゃんである、めくるめくスピード感が1ミリもありませんでした。PS2のゲームCGを見せられている感覚でした。本当にこれは3D CGで描くべき物語だったのか…?
② ステレオタイプなキャラクター造形の醜悪さ
悪役である非理谷充(ひりたに みつる)のネーミングからして胸糞です。非リア充、アイドルオタク、ひきこもり、いじめられっ子、非正規雇用、これらはオッサンどもの妄想する「非リア」でしかありません。原作では彼の役どころは「悪のエスパー」としてパーソナリティは深掘りされていませんでした(それが臼井先生の「誰も悪者にしない」優しさなはず)。ステレオタイプすぎる努力しないうだつのあがらない若者像を充くんにおしつけ、怪物にさせてしまうのは、何という醜悪さでしょうか。そしてラストにはこの充くんに、すべてを持ち合わせているひろしが「がんばれ」と声をかける、このシーンには寒気すら覚えました。
③ ギャグが滑り倒している
ことごとくギャグがつまらないです。深キョンもまったく笑えません。ストロングゼロでも飲んで酩酊していたのかと疑うレベルです。

良かったところ:
臼井儀人先生の遺志を受け継いだUYスタジオによる原作絵の紙芝居風のエンディングロールとサンボマスターの主題歌。
これには子どもたちもノリノリで踊っていました。唯一良かったところが2Dって、本当に3D CGにする意味があったんですか?


総評:クレしんファンをなめとんのか!!!!!!!!!!!出直してこい!!!!!!!!!!(いや出直さなくていい、もう二度としんちゃんに関わらないでほしい!!!!!!)