ゆう

瞼の母のゆうのレビュー・感想・評価

瞼の母(1962年製作の映画)
4.5
実は見よう見ようと思ってずっと縁が回ってこなかった

手付きや、戸の開閉などシンプルながらぐっと来る。
母探しの道中に母の思いを聞いて、少しでもとそっとお金を手で添えて渡していく忠太郎の優しさ

母、木暮実千代との再開を果たした場面がすごい

シンプルなのに立ち芝居と座り芝居
会話の感情に合わせてバックライトの光線で眼前化した七輪にわずかながら煙と緩かに立ち上がる

息子を返してしまって後悔する木暮実千代が倒れ込み、畳に茶碗を溢す、それを愛おしく手で擦りながら、もうここに居ない温もりを手で感じるのだけど

これは涙なしには見れません

水平線の使い方が上手い
奥行きを出すだけでなく奥の動線を散らして、画面を豊かにしている

例えば最後の可動式橋とか、あれは錦之助のナメから水平線の動線を生み出す。
この頃の美術やカメラのレベルの高さにひれ伏す
ゆう

ゆう