日下勉

瞼の母の日下勉のレビュー・感想・評価

瞼の母(1962年製作の映画)
3.5
ほんとに久しぶりに再鑑賞。
「瞼の転校生」を観て、再度観たくなったからだ。
それで感想をいくつか。
物語はもう定番化しているので、改めて何か思うことはないのだが、やはり加藤泰の演出。特に長回しのシーンの見事さと、小物を効果的に使う演出の巧みさは上手い。
ただ、当然なのだけど中村錦之助の演技はやはり過剰。もうこれは観てるだけでお腹いっぱい。あとは母物はなんと言うかどうにもマザコンっぽく感じてしまい(これはわたしの偏見なのだが)どうにも気持ちが付いていかない。
なので映画として素晴らしいのだけど、内容は自分向きじゃないかなぁ。
おなじ中村錦之助であれば、やはり断然山下耕作の「関の弥太っぺ」の方が好きである。言い難いけど、中庸でとても完成度が高い。そしてラストの切れ味が素晴らしい。
それで、もう一つ思ったのが「瞼の母」「関の弥太っぺ」もそうだし「座頭市」も1作目もそうなのだが、背景には天保水滸伝が共通している。講談の影響がとても深い事を改めて痛感。
日下勉

日下勉