コタロー

瞼の母のコタローのレビュー・感想・評価

瞼の母(1962年製作の映画)
5.0
 船出する松方弘樹を画面奥でピントをぼかしたまま処理するという距離感。船出という映画的シーンでさえも野暮なピント送りで絶対に呈示しないという根気。こうした些細なところへの力の入れ方の凄さ。浪花貞子が黙ってじっと中村錦之介を見つめるクローズアップが素晴らしい(もちろん最後のクローズアップも泣かせるが)。「盗み聞き」を物語推進に効果的に利用したり、画面外の騒動を声だけで提示する演出などに視覚的側面だけでなく音声的側面における加藤泰の手腕の上手さを感じる。
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