わくわくさん

君たちはどう生きるかのわくわくさんのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.7
これこそが俺の見たいジブリでした
何もかもすべて

得体の知れない、奇妙で不可解で、でも説得力のある圧倒的で歪で鬱なファンタジー、これこそが見たかった
上手く掴めないし、括れない、そんな"ジブリらしさ"が詰め込まれて蠢いてるような映画

きっと1つ1つが何かのメタファーで
自分にはわかりっこないのに惹かれて
何故なんだろう

よく解らないと切り捨てればそれまで
でも間違いなく俺は感動したし涙は出た





宮崎駿が描きたいのは結局のところ
「生きる」
ということだと思う
今までの作品からしても、生きよ、とか、生きねば、とか
大切な人を失って生きたり、なにも変わらない世界に戻って生きたり
エンドロールで結び着く話ではなく、その先の人生を余白として残す話ばかり
その、「生きる」というメッセージの本質を濃く映したのがこの映画だと

眞人は世界を統べる者になる事を望まず
希望を見失っていた世界で生きていく事を選択した
恐らく宮崎駿自身も、事あるごとに生きることについて考え、選択してきたんだと思う
宮崎駿は生きる事の辛さ苦しさ、そして尊さや美しさを知っている
だからこそ生まれた映画なんだと思う



この映画で描いたすべてが世界で
でもそんな世界は些細で脆くて
今にも崩れそうなのに成り立ってる

世界ってそんなもんでしかなくて
ただ崩れたとしても
人が居て思いが在って


どこまでも大きくて
果てしなく小さくて
そんな世界で
僕等はどう生きようか?