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君たちはどう生きるかのfan114のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

空襲を匂わせる鐘が鳴り響き、これ系か…と覚悟を決めるも、まさかのファンタジー展開。

物語冒頭の緊張感は凄まじく、階段を駆け上がる躍動感、病院へ向かう時の疾走感、それでいて襲い来る不安に消え入りそうに揺らめく描写には圧倒された。

謎のアオサギとの邂逅、屋敷にいる少し不気味な使用人達、謎の建物、このあたりまでは期待感に溢れ、ワクワクが止まらなかった。

しかし、死後とも過去とも未来とも呼べぬ、あらゆる世界を繋ぐ領域に足を踏み入れてからというもの、暗喩のオンパレードで、どう頑張っても置いてけぼり感が否めない状態が続いていく。

結局、最後までその印象は変わらず、何となく暗喩とメッセージ性、作家性だけは感じる作品といった感想になってしまった。

過去の名作と評されるジブリ作品では、脳裏に焼き付くキャッチーな名シーンや名ゼリフがあるが、それも無かったように思う。
観終わって色々思考を巡らせるも、依然として、識者の考察待ち状態。

唯一、最後のくだりに関しては理解出来た。

老人が、自身の後を継いで欲しいと願い出て、それを受け入れるか、断って元の世界に帰り、自ら切り開くかの選択を子孫に問うたシーン。
これは宮崎駿監督からジブリスタッフ、或いはジブリファンに向けて、自身の作品はこれで終わり、その後、君はどう生きるか?というメッセージなのだろう。

この作品を製作委員会やプロモーション一切無しでいこうというのは、なるほどどうして丁半博打だ。
口コミで絶賛されるパターンしか勝ち目が見えないが、その未来は、なかなかどうしてイメージ出来ず…。最終的な結果が気になるところ
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