君たちはどう生きるかののうこのネタバレレビュー・内容・結末

所感
常に自らの中に矛盾を抱え、自己批判をし続けた作家の集大成。決して自己模倣ではない。積み木を積み上げて遊んでるだけなのに神様かのように塔の上に住んでいるあの老人のように、宮崎駿は自らが生み出してきた、すでに「どこかで見たような」ファンタジー世界の寄せ集めを観客に見せ、そして子どもの頃の兄の姿で、その積み木遊びを否定してみせる。
宮崎駿の父親は零戦の部品を作っていたというが、宮崎駿は自分の兄を子供として映画内に登場させ、老け衰えた塔の老人=その後生まれる弟としての自身の未来の姿を、否定し、昇華したように思う。そう考えると兄弟ものだったのかもしれない。ファンタジー世界のインコ人は現実ではただの鳥になってしまうが、それがなせか感動的だった。
また、ちゃんと現実とリンクする形で、ファンタジー世界にも同じ名前の人がいて、現実にいる人をモデルにキャラクターをつくる監督の姿と重なった。宮崎駿がとらえている表彰世界と現実世界のようにも見えて面白かった。

ツイッターで「戦争のもろもろを完全に馬鹿にしてどうせ敗けると思っているが、戦争のおかげで自分の作りたいものを作れると受け止めている『風立ちぬ』の主人公によく似たあの父親。ああいう人を好感の持てる人物として描けるのは宮崎駿だけ。」と書いてる方がいた。父親の人物像も良かったし、母親へのコンプレックス具合も絶妙に気持ち悪くて良かった


なんか宮崎駿の映画としてしか見れず、あまり純粋な気持ちで見れてないうえ、話ばっかり追いかけちゃったので、また見直したい。