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君たちはどう生きるかのエレキングのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりの宮﨑駿監督の新作アニメ。
作画でいえば、過去の宮﨑駿監督の作品のうちで、最も凝っていると思う。
それでいながら、作監は本田雄ひとり、原画マンも20人ほど。
2016年頃から作り始めて、足かけ7年かかった計算に。

米津玄師、さいきん主題歌多すぎ笑
キムタクや菅田将輝ら、誰がどの声をあてているのか分からなかったが、分からなくていいのかもしれない。

ストーリーで言えば、ポニョのように破綻していることもなく、風立ちぬのようにしつこい煙草描写もなかった。
(煙草描写はあるが、風立ちぬほど酷くはない)(筆者は煙草きらい)

敢えて難点をあげるとすれば、登場人物の誰にも感情移入しにくい。
トトロやナウシカや魔女の宅急便には感情移入しやすいキャラクターが居たが、今作にはいない。
全体的に見ると、過去の宮崎駿作品のオマージュに満ちていた。

今作の好き嫌いが分かれる理由は、今作はエンタメではなくアート作品だから。
『カリオストロの城』や『天空の城ラピュタ』のようなエンタメ作品を期待すると肩透かしを食う。
正直言って、エンタメ作品で前作よりも面白いものを、と作っていくと監督は辛くなってくると思う。
前作を超えるエンタメ作品を作れないと気づいた時に『千と千尋の神隠し』のような意味不明な作品や、『もののけ姫』のように説教臭い映画になるのかもしれない。
宮﨑駿監督はいろいろやり尽くして、エンタメからアート作品へ舵をきったのかもしれない。
そして、『かぐや姫の物語』など膨大な予算を使ってアート作品を撮っていた高畑勲の亡き今、高畑勲の代わりにアート作品を作っているのかもしれない。

それにしても、アーシュラ・K・ル=グウィンの『ゲド戦記』は宮崎吾朗ではなく宮﨑駿が監督したら良かったのに、なんで断っちゃったんだろう?
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