まゆ

君たちはどう生きるかのまゆのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

宮崎駿の実験映画。
私は宮崎駿もジブリもそこまで知らないので、1映画としての評価。

通して見ても、情報を無解禁にした意味がわからなかった。確かにこれまでにない盛り上がりを見せたが、それは宮崎駿というネームバリューがあってこそ成り立つ手法で、期待の大きく広がる分それが回収できたかは怪しかった。つまり、内容としては平凡な駿作品という感じ。
内容面は、先述したように平凡さ…というより、わからなさが大きかった。要素の消化不良と、広がりが要因だろうか。ちゃんとわかったのは、神様によって安全が担保されない世界で、世界の命運は我々に左右される、というテーマ。そういう意味で、「君たちはどう生きるか」。神様への責任の集中ではなく、市民への責任の散在。なんという民主主義。
かなり哲学的な内容(時間の交差や、責任の所在など)を描こうとしていることはわかるが、かなり深読みしないと分からない印象。感情は描かれず、敵味方がはっきりしている訳でもないので、ストーリー性のあるエンタメとしては楽しめないが、構図やルックがいいので、画面に集中すれば飽きることはない。ミザンセンについて詳しく言えば、アオサギの気持ち悪さと不気味さ、かっこよさが同居するデザインや、死者世界のメルヘンや中世日本を連想させる幻想的な背景デザインが気持ちがいい。しかし、この辺のルックは駿作品のほとんどの作品に存在するので、特にこの作品である必然性は感じない。
再三言うが、何も情報を与えられなければ、漠然とした、無限に広がる期待を抱いてしまう。そういう意味で、その期待に応じた作品は見られなかった。駿初心者の私が言うのもおこがましいが、心にズシンとくるものはないので、個人的にはエンタメを見るならポニョ、世界観を見るならナウシカかなと思う(というか記憶に残ってるのがこれしかない)。あと、主題歌米津、声優大御所俳優は逆に安っぽく見える。期待と内容が釣り合ってなかった分。

以上が感想だが、私がまだ宮崎駿の作品を十分に鑑賞していないことも否定的な評価の原因になると思う。なので、また10年後、20年後に見た時に評価が変わることを期待したい。
まゆ

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