武者鬼

君たちはどう生きるかの武者鬼のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

テーマ性が見えない

画は過去一に近いくらい良いと言える
そしてジブリファンじゃなくても至るところにジブリ作品のオマージュが散りばめられているのも明確に分かるだろう

問題は、
・この作品を通して主人公やその周りの人は何を得られたのか
・この映画を見て観客は何を感じ取ったのか
・同名タイトルの「君たちはどう生きるか」と比較してどうだったのか
である

一つ一つ書いていこう


・この作品を通して主人公やその周りの人は何を得られたのか
主人公は母と夏子に対するコンプレックスを解消できただろう
これにより家族の絆は深まり、夏子の子供も無事生まれてくるだろう
先祖は結局正体不明の力(カルシファーと同類のもの?)との契約は破棄され、ペリカンや過去キリコが話していたこの地獄の世界は幕を閉じ、ともに連れられてきていた鳥たちも無事地獄から開放され元の世界に戻る
母親と過去キリコは過去へ戻り時系列的な矛盾は解決する
とまぁぱっと見は大団円である

しかしそもそも論主人公は自傷し混乱を招いた程度で罪といえるようなことなのかと言えばよくわからない
そしてあの地獄も必要があってあるものでもない
ポニョのお父さんのような感じで自主的な奉公というわけでもなくただただ独りよがりの裸の王様ということである
母親や夏子が魔法使いのようなのはともかくキリコも魔法使いなのはご都合主義すぎではないだろうか
少なくとも主人公が千と千尋の神隠しのような貴重な人生経験をしたというわけでもない
記憶も薄れてなぜかわからないけど夏子との折り合いが良くなったというだけなのである

・この映画を見て観客は何を感じ取ったのか
…何を感じ取りましたか皆さん?
私は少なくともなにも感じ取れませんでした
テーマ性のものは感じないし啓蒙的な話もない
主人公とおじいさんの会話の部分については次の項目で話すのでそこは置いておく
少なくとも良い映像だったなーくらいしか感じられなかったのではないか?
あとはサギが気持ち悪いとか〇〇のオマージュだよねーのようなトリビア的な気持ちよさしか無いだろう
いやまじでこの作品から得られたテーマ性とかなんでもいいので感じたことをコメントでいいので教えてほしいです
まじでわからん

・同名タイトルの「君たちはどう生きるか」と比較してどうだったのか
私はまだ原作の本を観ていないので概要をまとめた文や動画の解説などしか観ていないので完全に理解したわけではない中で話すということを前提においてほしい

まずはさきほど話したおじいちゃんとの会話である
13の善意の積み木を積んで世界を維持し契約を続けてほしいと言っていた
これはおそらく何かの隠喩なのだろうけど残念ながらわからなかった(もしかしたら宮崎吾朗へのメッセージ?)
そして主人公は断る罪を受け入れて元の世界で生きていくと
ここは原作に近いようで原作では「自身の過ちを認め、苦しめるのは人間だけである。自分で行動する中で過ちは犯すがだからこそ立ち直れるのだ」という内容があるようだ
主人公も似たようなことを話していたがこの話の中で罪を認め立ち直るという流れのシーンがあっただろうか?
だからこそわたしはこの主人公の言葉が全く響いてこなかった
基本的には誰かに助けられるし何かしらの不思議な力で解決するだけの話のようにしか見えないのだ

まとめ
・画以外の点で褒められる部分が見当たらない
・原作の名前を借りてるのにその1割も良さを引き出せているようには思えない
・もろもろを隠した宣伝をした作品でこれ?という期待外れ感がすごい

ぶっちゃけ★2でもいいくらいだけど画がなんやかんやいってすごいので★3に抑えておきます
武者鬼

武者鬼