Anna

君たちはどう生きるかのAnnaのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

まずは白紙の招待状に心から感謝したい。何も知らされず親に手を引かれ一体何が始まるんだろうとわくわくする気持ちで映画を観た感覚が、まさか大人になった自分にもう一度沸き上がるとは思わなかった。そしてまっしろな気持ちで観れたから、まずは自分の感じたことを的はずれだろうと何だろうと観た直後の今の瞬間に形にしておこうと思った。

一番に痛烈に感じたのは、あの不思議な世界を作った大伯父…創造主が宮崎駿さんご本人に思えたこと。想像力という原石を自身の中に見つけた日からあらゆる世界を作ってきた。きっとこれまでいろんな理想を心に燃やして挑戦と挫折と葛藤を繰り返し、やがて望む作品を作ることからアニメーション界の未来を思いジブリを創ったのでは。次世代育成へ…後継者へバトンを渡す…それは結局、宮崎さんが思い描いていた様にはならなかったんじゃないだろうか。創造主の住まう塔が脆く崩れさる姿が強烈。でも宮崎さんが脅威に感じたアニメーション界の危機も、新しい世代にとっては鳥のさえずり程度だったりするかもしれない。宮崎さんの望んだ形に完全にはならなかったとしても、確実に宮崎さんとは別の世界を創造する若い力は育っていて…

ラスト、不思議な世界から戻ってきた主人公は2年経ち東京へ戻るために部屋を出る。そしてなんの未練もなくあっさり終わる。このシーン…まるでひとつの映画作品を創り終えた後みたい。もう過去の作品は振り返えらず、一新して次へと進む。

私にはこの作品が、ジブリ作品を観て育ち宮崎さんに憧れてアニメーターになった若いクリエイターに対する問いかけに感じた。

君たちはどう生きるか?
Anna

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