はせ川

君たちはどう生きるかのはせ川のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

米津の主題歌の情報がSNSで発表された段階で、これは公開初日に観に行かないと楽しめないなと直感的に思い、レイトショーへ。序盤、まずCVキムタクにびっくり。序盤から中盤、何の話なのか分からず期待と不安が入り混じりはじめる。そして終盤に差し掛かり、やっぱり客を放置したまま物語がずんずん進み、そのままスーッと終わっていった印象。最後のシーンでアオサギの声の主にやっと気付けた時は「いや声優も上手いんかい!」と感嘆した。
ナウシカ、ラピュタ、トトロ、紅の豚、もののけ姫、千と千尋、ハウル、ポニョ、そして風立ちぬ…溢れんばかりの自作オマージュを万華鏡のごとく見せつけられ、混ざり切らず混沌としているが、これは(駿の新作というだけで足を運ぶ私のようなニワカの)観客のための映画というより、スタジオジブリと、なにより駿自身と、駿ファンのための総決算映画だなと思った。スピルバーグが自伝を作ったように、彼もまたアニメ作家として自伝を作った。引退詐欺をしまくることでお馴染みの駿だけれど、さすがにこの次作を今後完成されてしまうと、今作は何だったのかと言わざるを得ない。ただし「最後の作品」というのを踏まえてイメージされるのは高畑勲の「かぐや姫の物語」で、駿がそこを無視できるはずはないのだが、残念ながらそのスケールと緻密さは「かぐや姫」に圧倒的に軍配が上がるのかなぁとも思った。だからこそ宮崎駿というブランド力のみを頼った「事前情報ゼロ」プロモーションだったのかもしれない(FIRST SLAM DUNKの影響らしいが)。
私は千尋と全くの同い年だった世代の人間だ。駿作品を新作として劇場で体験することはできないだろう。小学生の頃から続く、この悲喜交々というか、いやコレをどう思えばよいの?とモヤモヤしながら劇場を後にする感覚もこれで最後だと思うと、感慨もひとしおといった所だ。だって、トトロとラピュタから始まり、生まれてからずっと一緒にあった映画監督なんて、他にいないから。
はせ川

はせ川