こじはるの映画日常

君たちはどう生きるかのこじはるの映画日常のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

@IMAXlaser

大好きなタイプの映画だった。

主人公の少年の成長が分かりやすく描かれていた。不思議な世界で成長する。この辺は千と千尋の神隠しっぽいと思った。

アオサギは案内人兼想像力、インスピレーションの化身みたいな感じかな?

マヒトは「君たちはどう生きるか」を読んで、大叔父様(宮崎駿監督?)のように物語の世界(想像の世界)に引き込まれた。本に囲まれた部屋。

引き込まれた物語の世界は過去現在未来が混在していて、その証拠に様々な時代の船が登場する。全ての時間軸が混在しているということは死人も新しい命も存在していることを裏付けている。

そんな世界でマヒトは命について学んでいく。巨大な魚を捌く描写、産まれる命と理不尽に死ぬ命、巡る命。その中で
義理の母の心の内を知り、命の持つ''悪意'' とも向き合った。

積み木は墓の石、つまりひとつの石が一人の人生。一人一つしか積むことが出来ない。''悪意''のある積み木は不安定で重ねるのが大変である。

大叔父様?が悪意の無い石を集め、積ませようとするが自らの''悪意'' を知った主人公は拒否し、元の世界に戻ることを決意する。(物語の世界には居られない)
仮に''悪意''の無い13の石を宮崎駿監督の長編映画とすると、宮崎駿監督の作品のみで作る世界は結局、現実ではなく虚構でしかない。

主人公は''悪意''の蔓延る戦時中の世界で不安定な積み木を重ね続けることを選んだ。

現実に戻ったマヒトは石を持ち帰っていた。これは恐らく母の命?「いつか忘れてしまうけれど、それでもいいんだ」というセリフはグッときた。

戦時中の時代背景と重ねたこの映画を通して、宮崎駿監督は現代の私たちに大切なメッセージを残したのだと思う。

私たちは誰しもが持つ''悪意'' を持った積み木で未来を築かなくてはならない。マヒトのように''悪意''に向き合い、それでも目を背けず、慎重に積み上げて崩れないように世界を作らなければならない。それが命を使う、つまり使命なのだというメッセージを感じた。
「君たちはどう生きるか」
見終わったあとに、どう生きようかと考えていた自分に驚いた。

宮崎駿監督はこの作品に、これまで作ってきた「物語」の意義と未来への希望を託した。

私は監督の自伝映画とは全く思えなかった。

映像に動きを持たせる天才の力量が表れていた。いつまでも見飽きない画。感動した。

完璧なロジックは無い?

異世界の初めの門は?「ワレヲ学ブ者ハ死ス」

ペリカンは理不尽の象徴?

13の''悪意''のない石とは?

【追記】2度目の鑑賞
おばあちゃんたちの人形にマヒトが謝るシーンは、上級階級にいる自分の生活がどれだけの人に支えられているかに気がつき、今までの行いを謝っているシーンだと感じた。
石がマヒトやヒミを嫌がる理由は、彼らが物語の世界を壊す存在だからであり、実際にマヒトは母屋に入るというタブーを犯してしまい物語の世界を危ういものにする。
石に触っちゃいけないのは、何かが残っている→まだ生きている誰かの人生に影響を与えているってこと?
インコたちは大叔父様が作った世界を自分たちで支配したがっている。大叔父様がいる所はインコたちにとって天国のような場所→世界の全ての始まりの場所だから?
終盤のマヒトのセリフ「友達を作ります」→人との関係を大事にして、世界を正しく作ろうとする意志。

母屋に入るのがタブーなのはなぜ?