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君たちはどう生きるかのますのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

目の前に丼を置かれ、蓋を開けてみると美味しそうだがよくわからない食べ物が入っており、これなんだろう?と思いながらモグモグ。最終食べ終わった後も、材料や料理方法がよくわからない。でもしみじみ「美味しかったな。ごちそうさまでした」と思う。そんな感じの映画だった。

宮崎駿の半生を、ミヒャルエンデの「はてしない物語」のように描くスタイルが好きだ。出来立てのようにピカピカだが「入ると死ぬ」と書かれた門の向こうにアニメーション撮影台のようにも動画確認用モニターのようにも見える石棺があるだとか、詐欺師みたいに口八丁手八丁だが冒険の(道を進むための)手助けをしてくれるうるさいPみたいなおじさんだとか、崩れゆくジブリっぽい塔だとか、そこから羽ばたいていく鳥達だとか。(そして今回調べて初めて、宮崎駿が、『数千人の従業員を擁した一族が経営する宮崎航空興学の役員を務める一家の4人兄弟の二男』であることを知る。戦争時宇都宮に疎開し、その後東京に戻ったことも。)
掘れば掘るだけ見つかるものがありそう。考察サイトを見ればすぐいろいろわかるのだろうけれど、これはじっくり咀嚼していくほうが自分には向いてそうだなとも思う。(ただ同時にこれは、「安易な考察」を拒んでいる作品でもある。本当に伝えたい大事なことは自己紹介ではないので。)

(余談だが、ジブリは本当に効果音がいい。木の階段をのぼる音、軋む窓を開ける音、どこかで聞いたことがあると感じる。)

そして、最後の最後に思い切り「受け取り手に能動性を求める」作品を作ってくれたことが嬉しかった。メッセージは多分、1/4くらいは受け取れたような…気がする(多分)。少なくとも「おれはこう生きたぞ!君たちはどうする?」ってのは。
これまでたくさんの美味しい料理をありがとうございました。立つ鳥あとを濁しまくっててよかったです。
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