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君たちはどう生きるかのmidukiのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2023.07.15.

端的に。

宮﨑駿のマルチバース。

スクリーンから、目が離せなかった。
アーヤと魔女が3DCGだったので、構えていたら、手書きのグラフィックでとてもうれしかった。

ただ、文脈として何が言いたいんだろう、とは思う。
ふんわり自伝的。(13の積み木=13本の監督作品、3つの積み木は吾郎監督作品の本数)
これは宣伝を打たなかった、というより、打てなかったのでは。

でも鈴木Pの判断は何気に間違わないのよね。結果的にキービジュアル大喜利でバズってた。
仮タイトル「アシタカせっ記」からの「もののけ姫」にタイトル変更した時もそうだし、その難産だったキャッチコピーの「生きろ」も大正解だったし。


○余談
個人的な宮﨑駿作品の"人生の一本"
魔女の宅急便

個人的解釈による引退宣言とともに公開された映画の中でのベスト
ハウルの動く城

個人的解釈による宮﨑駿の最高到達点
もののけ姫

○追記
原案となった同名の書籍を流し読み。
…これを、森見登美彦が書いて、スタジオコロリドがアニメ化すると、「ペンギン・ハイウェイ」になるというということかしら?
真理を見定めようと、研究に邁進する少年の成長譚。話に研究という一本筋が通ってるので映画としてはこちらがシンプルで理解しやすい。
本作は宮﨑駿のメッセージと哲学のエッセンスが詰まってるから、とても複雑。
エッセンスが濃厚すぎるほど、一つ一つのエピソードの前後関係をスムーズに繋げて起承転結をつくりにくくなる。
チャゼル、お前の"BABYLON"のことだぞ。
しかしそこは巨匠。観客を楽しませるという本懐を遂げている。

濃厚で、見どころと言えるシーンもなく、説教くさい映画、はたまた、見どころがあるが支離滅裂の映画。

後者のほうが、まだ見てもらうチャンスが大きく、結果的に伝わる、残る映画になると個人的に考える。

どうしても人間、終わりが見えるとメッセージが濃厚になりがち。そこの筋を綺麗に通すと、話は通るが説教くさくなり、かわりにサービスシーンをいれると、複雑になるが、絵が面白いので見てもらいやすくなる。
このトレードオフを絶妙なバランスで突き詰める、これが巨匠、巨匠のおそらく最後の作品である。


あるいは、CLAMPの「ツバサ」か。(過去作のオマージュ、スターリンクシステム的な世界観)
トトロっぽい木のトンネルと、コダマみたいな"わらわら"が好きです。
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