映画が終わったあと、若い女の子たちが「アリエッティ」や「火垂るの墓」の名を挙げて話していた。内容は聞き取れなかったけれど特にアニメオタクという風でもない人たちが前作「風立ちぬ」すらもう10年前というのに、もっと昔の作品をスラスラ出しているとこにスタジオジブリのつよいブランドを感じる…まあ「アリエッティ」も「火垂る」も宮崎さんの作品やないけどさ。
こういう確かなファンベースというものは、たとえ新作が不評だ失敗だとなったところでアッサリ消えない気がする。
そして新作にはそういうものを下支えするくらいの真摯さはあったのではないか。
ただ、じゃあアンタの感想はどうなんやと訊かれると…うーん。
なんかジブリまったく関係ない人たちの作った「ジブリっぽいアニメ」をみてるようだった。「日本一腕のいいアニメーター」とも言われる本田雄さんがいてこうなるのか、みたいな。
岡田斗司夫氏が2018年の短編「毛虫のボロ」の制作ドキュメンタリーをみて「宮崎さんはもう全盛期ほど働けないし線も描けない…引退宣言から復帰するのは良いけど、これからは納得できない絵を描き続けるつらい作業ばかりになるのではないか」と評していたが、まあそういう言葉を思い出さざるを得ない覇気のなさ。
まあ岡田さんってアニメ評論だと色々いわれてる人だが。「シンエヴァ」公開当時にスタジオカラーの庵野秀明氏やジブリ公式ツイッターから肘鉄かまされてたのは記憶に新しい。
セキセイインコどもがうんこしまくるのは笑えたが全体に一般受けするメジャー作品な雰囲気やらキャッチーさはない。
宮崎作品特有の「達人同士の会話」みたいな、僕のような凡人からするとイマイチ意味が分かるような分からんような、でもスゴイ人たちの会話ってこんなもんかいな、みたいなリアリティは健在。そこらも含めてセルフオマージュがちりばめられている。「どこまでも続く船の群れ」なんて「紅の豚」でやってたもんな~アレは飛行機だったけど。ラストに大アクションがあってそれなりに良いもん見せてもらったな、という気持ちで帰れるとこもジブリな感じ。