ちくわぶ

君たちはどう生きるかのちくわぶのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0
私は小さい頃から宮崎駿の作品が好きで好きで…。
というより作品から感じ取れる彼自身の思考、闇、生き様、センス、その全てに圧倒されてきたし、何より彼が何を考えてるのか、何を思ってるのか、何を伝えたいのか、いつもそれを求めてきた。少しでも彼に近づきたくて。

今回は10年ぶりの作品。
この日を夢見てました。それなのに前情報が一切無くて余計に心が舞い踊る。
早く彼に会いたい。彼の感性に触れたい。
彼に対する気持ちが一層強くなる。
なるほど、このやり方は効果抜群だな…


いつも通りジブリ作品が始まる前のトトロの画像が流れた時、なぜか泣きたくなってしまった。
やっと観れる!楽しみ!!という喜びと、この作品で本当に引退してしまうんじゃないか…始まりがあると終わりがあるよね…と勝手にメンヘラモードになり悲しくなってしまったのだ。


【下記ネタバレ要素あり】


作品が始まってすぐに「え?!?!こっちの路線?!」という驚きがあった。
おー、、、なるほど。なかなか重そうなストーリーだ…。
この作品を観るには心構えが必要な気がした。
なんとなく風立ちぬを思わせる雰囲気。
だがトトロやハウルや千と千尋や今までの作品を思わせるシーンもいくつかあった。
ファンや彼が愛した作品の数々。想いを感じた。

絵のタッチから、人間の動き、不気味さ、風の動き方、温度さえ伝わってくる。
この天才的な表現力。成長は止まる事を知らないな…。

そこからストーリーが進むにつれ頭が何度もパンクしかける。
理解が追いつかないぞ…と焦りも出てくる。
彼の思想に近づきたいのに、
…お!?近づいた!!と思ったらすぐに突き放されてしまう。
その繰り返しで、それがまるで悪夢を見ている様だった。
面白い 面白くない では表せれない。
ずっと夢の中にいる様な不思議な感覚。


観る側にゆだねすぎてないか??
これがクリエイターの頭の中か??
もはやアートだな…と。
哲学的要素が強すぎて掴めそうで掴めない。
何を表してるんだろう?これはどういう事だろう? そればかり考えていたら作品が終わった。

何もわからなかったが、彼自身を表現している作品の様だし、彼が今までの人生のなかで関わってきた人達の様にも見えた。

それにしても疑問がたくさんありすぎるからか、観た日から頭が支配され続けてる。
なのになぜか心は満たされている。

私は何を観ていたんだろう?
何を観させられたんだろう?
正直に言うと好きなタイプの作品ではない。
君たちはどう生きるか。このタイトルからして、宮崎駿に説教される気満々で映画館に行ったのに、
彼はただただ静かにそこにいる。
でも何を問われてるかもわからなくて、それに答えも永遠に出てこなくて、なぜか自分の弱さや薄っぺらさを目の当たりにしてしまった様な。。。

はあ、、、観た方の解説とか読んで心を落ち着かせるか…。
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