ミミオ

君たちはどう生きるかのミミオのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.8
駿監督、女の子以外の主人公なら切れ味鈍る説!

…これからの感想はお話のネタバレはないようにしますが、それでも多少なりとも触れますので、未見の方は読まないことを強くお勧めします。


さて、というわけで、今作、場合によっては最終作は、集大成感ありましたねえ。というか、過去作の切り貼り感というか。
それに加えて、マトリックス風味(扉の並んだ廊下)やメッセージ風味(宙に浮かんだバカウケ)、僕的にはブレードランナー風味(2049のホテル)やSW風味(ナタリーちゃんの葬儀)すら感じる、え、駿さん、こんなのもお好きでしたか!な過去良質SFエッセンスの寄せ集めまで感じました。

が、それらを突き抜けてこなかった残念さも感じました……。駿さんなら、もしかして、という期待値が高すぎるんですね。

ナウシカやポニョ、魔女宅、トトロ…などなど、駿さんの作品は(特に若年時代の)異世界との接続が肝であることがほとんどな訳ですが、今作もそれは当然踏襲されます。
それに加えて、風立ちぬの時代感、ハウルのキムタク、紅のマダム、もののけのコダマ、アリエッティのヒロイン(は、違うか)…特に千尋のモチーフはそこかしこに再登板という印象。親との違和感、湯婆婆、ハク的ヒーロー、式神、リン姐さん…と、既視感の連打です。

そんなわけで、あ、これはあの作品のアレか、という風に観てしまった。逆に今作での新要素(オウム軍※王蟲ではない)が弱いからそう見えちゃったというのが正解か。強いていうならシリアスなミステリー調の序盤には少しゾクゾクしたけど。それも後半はいつもの駿節になっちゃって中途半端…
また、キャラ造形、ひょっとして後進にちょっとずつ渡した?と思われるところがちらほらあって、そこにも満足できなかった。オウム王子、ありゃなんだ。絵も中身もこれまた中途半端にすぎる。

そして何より、駿さん、もう未来に希望が持てなくなってるのかね、という締め方がなあ…。曲がりなりにも希望が持てるファンタジー世界とは暴力的に断絶されてしまうって…悲しい。


というわけで、駿時代の終わりを垣間見た感じがあったわけですが、いやいや、それは主人公が男の子だったからだ、と無理やり言い聞かせてみる。

あと最後に…父ちゃん、姉妹でってキモくないか?時代だからなのか?それにしても子供ができる時系列がキモくないか?ってのにも引っかかった。
ミミオ

ミミオ