観終わった後に友達とラインでやりとりして大分整理できた。
本作ではエディプスコンプレックスを描こうとしたのに、やりきれなかったのは何故か?というモヤモヤが残っている。シンプルにいうと「なぜマヒトは父親を殺さなかったのか?」という部分がずっと引っかかる。
とにかく全編通して父親の振る舞いや言動で許せない部分が多かった。
「兵器工場」の経営者であり大金持ちである父親は「サイパン」で起きたことを他人事のように言い捨てる。
前妻を空襲で亡くしているのに「戦争のおかげで仕事が繁盛している」みたいなことを言ったり、というか前妻の妹と再婚してるのも大分気持ち悪いし、かなり最悪の金持ちだった。ハッキリ言ってクズ野郎である。
これはクライマックスでマヒトが「父親殺し」をすることで成長するための前フリとしか思えないが、結局そこは完徹されなかった。なぜ?
今作では明らかに夏子さんを「女」として描いてる。向こう側の世界で出会うヒメ(実母)にも淡い恋心を抱いている。
マヒトは人生で初めて触れる異性である「母親」に対して性愛的な感情を持っている。そして「父親」は憎むべき存在として現れている。
典型的なエディプスコンプレックスのような話であったのに、なぜか父親は殺されなかった。
宮崎駿はなぜ父親を殺さなかった(殺せなかった)のだろう?今はそこに一番興味がある。
宮崎駿は昔から映画のストーリーより「画面」を優先させてしまうので、まあ致し方ないのかもしれない。
マヒトは現実世界で父親を殺して、向こうの世界で夏子さんとヒメと3Pセックスをして二度と現実に帰ってこないというオチであったら素晴らしかったのに。
君たちはどう生きるか?という問いに対して宮崎駿は間違いなく「もう現実には愛想がつきました」と答えるはずなので。