宮崎駿なりのカーテンコールだったな〜という感想を持ちました。
前作でクリエイターとしては一旦区切りをつけたものの、最後の最後に好きな物を好きなだけ詰め込んだ作品を作ってみたくなった!!
そのためのカーテンコール興行だ!!
という気概を感じました。
スポンサーを一切入れずに制作した、何の忖度も遠慮も無い宮崎アニメが最後に観られて嬉しかったです。
内容がフワフワしていてストーリーが説明しにくい難解な作りではありましたが、観ておいて良かったという満足感を得る事ができたのは宮崎駿のアニメーション監督としての力量のおかげなんだろうな。
火事のシーンの迫力とか凄くなかったですか?
お父上と義母のキスシーンの何とも言えない空気感とか、やっぱり宮崎駿は天才なんだよな〜と嬉しくなりました。
天才の引退作を何の予備知識も無く観られる幸せなんてそう無いですもんね。
ストーリーは難しいけど、一つ一つの場面が美しくて退屈する暇は決してありませんでした。
ここの演出はラピュタのあの場面に似てるな〜とか、ここは未来少年コナンだな、ここはハウルだな…なんて、
あらゆる場面で既視感が凄かったのも退屈せずに済んだ要因の一つかもしれません。
今まで観てきた宮崎ワールドの詰め合わせっぽい要素が散りばめてあって、意図してそうしたのかはわかりませんが何て粋なカーテンコールなんだと感動しちゃいました。
もしも、大叔父様が宮崎駿自身の事なのだとするならば、自分の後継者になるような人物が育たなかったジブリを解散させ
「長年俺なりの帝国を築いてきたけど俺はもう引退するよ。ところでこれを観ている君たちはこの先どう生きていくつもりなの?」
と、視聴者に問いかけているような内容なんじゃないかと思いながら観ていましたけど、全然違ってたらすいません。
何せストーリーが難解なものでこのメッセージが合っているのかどうかさえ正直よくわからないんです…
刃物やカトラリーを持った有象無象のインコ達がピーチクパーチク騒いで主人公を食べようとしたり大叔父様に「肉親のヘマ」を盾に文句を言いに来たりするのは、
宮崎駿やアニメーション界を食い物にしようとしている業界関係者だったり無責任に言葉の刃を振るってくる視聴者達への当てこすり…
と言ったら聞こえが悪いのでしょうが、まぁそういう事なのかな、なーんて考えてみたりしましたが、これまた違っていたらすいません。
「後継者は血のつながった身内じゃないと〜」みたいな台詞ありましたけど、息子の吾朗氏はどういう気持ちでそれを聞いていたんでしょうかね。気になります…
作中に出てきた意味のわからないものや訳の分からない事象はきっと全て何らかのメタファーなんだろうとは思うのですが、不勉強なものでほとんど読み解けませんでした。
わからない箇所が多すぎてあまりにも複雑怪奇な内容なのに、子供の頃からずっと観てきた宮崎駿らしさみたいなものが終始感じられてとても不思議な作品でした。
みなさんの考察を参考にしながら一つ一つの謎を解いていく作業をしている最中なんですが、この作品の謎は永遠に解けない気すらしてきました…
でも、
天才が最後に残した謎解きは、ゆっくり時間をかけて咀嚼して消化していけたらいいなと思っています。
長い時間楽しめる作品を最後にありがとう、宮崎さん。
めちゃくちゃレビュー長くなって申し訳ありません〜!!!