ぐり

君たちはどう生きるかのぐりのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
2.5
当然ながら、過去の宮崎駿作品たちと比べて、キャラクターや展開の既視感は否めなかった。
作風が偏るのは、そこには軸があるからであろう。

いつもの宮崎駿の
脇を堅める魅力的なキャラクター(動物的な生き物や老婆)や、風の描き方は流石で、今回も引き込まれた。

今回の「君たちはどう生きるか」では、少年が主人公である。
宮崎駿作品の魅力の一つである、勇敢で快活な女性キャラクターの登場が少なく、それがヒミであったとは思うのだが、もっとヒミという人を見たかった。

眞人が、
あまり楽しくはない下の世界に帰ることを望んだり、今は亡き母親ではなく、夏子を母親として受け止める道を選んだりしたあたりの描き方があっさりしていた。
冒険物語ならそれでも良いかと思うし、何かしらの思想が込められているならもっと深く描いて欲しかった。


今作では冒険的な物語に思想的な要素を盛り込んだせいか、冒険活劇的には少し尻すぼみに感ぜられた。
また、思想を伝えるには、キャラクターたちが素直過ぎる。
ファンタジーの中では、素直なキャラクターは魅力的だが、実際の生きてる人間は、もっと泥臭くてもっとめんどくさいはずだ。

どう生きるかという思想を伝えるのに、冒険ファンタジーは相性が良くなかったように思う。


やはり、
宮崎駿作品はもっと観ていたい。
ぐり

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