くわまんG

君たちはどう生きるかのくわまんGのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0
あらすじ:人間には悪意があるから、生きてれば悪意に晒されることもあるけど、その経験があればこそ、分かり合って許し合って手を取り合おうとする善意も生まれるというもの。だから、辛くても死んで楽になろうとしないで、誰かのために良い今世を生き抜かねば。みんな辛いんだから、救世主を待つのではなく、君が誰かの救世主にならねば。

僕は色々辛いんだけど…というお話。

ふんだんなセルフオマージュを共存させて「俺の理念」を詰め込んだ、総集編的な大作。こんなの、大御所以外は作ることさえ許されないから、良し悪しはさておき贅沢だと思う。

まあとにかく飲み込みにくかった。わけわからんのなら『ナウシカ』から『風立ちぬ』まで数周してから観直しに来い、とでも言わんばかりに敷居が高かった。子供などはちんぷんかんぷんだろう。娯楽性も過去作に比べれば乏しいように感じた。

正直、集大成だった『風立ちぬ』が遺作でも、総集編の本作が遺作でも、クリエーターとして同じ幕引きだった気もするけど、コロナ禍やウクライナ紛争を経ても大して変わろうとしない世間の態度を見て、監督はいま一度伝える必要があると判断したのかもしれない。

80歳をこえて、まだこんなに口当たりの悪いファンタジーを作るんだから、永遠に若い人なんだろう。今後新作が発表されても、もう驚かないと思う。