猫マッチョ

君たちはどう生きるかの猫マッチョのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0
もののけ姫以降のシュール精神世界ジブリ。物語のキーポイントとなるのが母親からのプレゼントである本だと考えられる。

テーマとなるのが『映画とかドラマ、漫画や小説のフィクションって意味ある?現実逃避じゃん。そんなのより金稼ぎと食事と旅行の方が良いやん。』という疑問の宮崎駿の答えを描いているのだろう。一言なら『想像力とは?』ってコトだろう。

ちなみに、この映画のリアルに恐いのが愛する妻が焼け死んだのに半年くらいで、その妹に手を出して子供を孕ませて1年後に結婚までこぎつけた父親だろう。絶対に不倫しとったか戦略結婚かだな。

フィクションである本を取り入れた事によって主人公は精神世界を確立出来ただろう。それまでは制限された空間で想像していた主人公が読書以降に大きな広がりを持つ世界観をイメージ出来るようになっている。鳥と女しかほぼ登場しないが。鳥も4種しかいないし。

現実では小便や大便をする場所を『便所』と言っていたが精神世界では『トイレ』と発言している。また、魚を捌いた時に骨が出てこないで身や内臓しか出てこないのも料理の経験の乏しさからきている。上記の2点から、おそらく夏子の洞窟に入った以降、もっと言えば青い鳥からおっさんが登場してから精神世界に入ったのだろう。
だいたい、離れの塔からババアと父親と対面した時にババアが鍬や鎌の武器を持ってるのはおかしいだろ。父親のポン刀だけでも武器になっているのに。どんだけ攻撃的に探索しとるんや。
ってか、映画を真面目に観ている人は気づいてると思うがババアの持っている物が途中と最後で全然違っている。現実と空想の違いだろう。

本題となるテーマは『フィクションを取り入れる事により現実逃避ではなくて、大きな視野を持って現実を包容出来るようになる。自分の内面の広がりは現実では限界があるからフィクションも取り入れて大きくするべし。』って事だと考えられる。なので、母親の死や同学年との関係性や夏子や腹違いの弟を最終的には受け入れているのだろう。たった1冊の本の咀嚼だけなのは皮肉だが。


ちなみに、この映画でセリフの量で男女差が目立つ。登場人物に女が多いのも理由の一つだが、男のセリフが殆どない。記憶する限りでは同級生やタバコ好き爺さんは一言もセリフが無い。普通は話させるのに。

多分、男は黙って物作り、女はペラペラしゃべるだけ。ってのを表したいのかな。実際のところ登場人物の女は全員受動的だったし。男もパパ以外は受動的やけどね。
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