このレビューはネタバレを含みます
戦争に対して冷ややかながら、軍事需要で利益を挙げるエリートとその子どもと、その子に対して敵意をぶつける子どもたちの漠然たる対立が髪型によって言外になされている。この時代に付与されがちな、安易な国民の画一的イメージを前提として斥けていて、それを重くなく描写している点に巧みな演出力を感じた。
ただ、不親切な展開(たとえばツルコさんの若い頃を初めて出た名前で特定するのは難しいだろう)と、それの開き直りの態度というのは、観客に理解の一方的な委任をしているようで、自分の好きな映画制作の姿勢とは相容れないものである。