今日も喉が痛い

君たちはどう生きるかの今日も喉が痛いのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
-
ちゃんとしたストーリーにカタルシスのある展開などは皆無なのでストーリーを追うと“よく分からん”となるは仕方ない。
ストーリーなんてものはなくていい。もうそういうのやってきたからもういいよと駿が言ったかどうかは知らないが、巨匠と言われるお歳になると割とこういう境地に達する監督はよくいる。黒澤明の『夢』を見た時と同じ様な“よく分からん”があった様に感じた。ストーリーを追ってしまうと“よく分からん”の迷宮に迷い込むが、夢のようなものと全体を見渡せば駿の言いたい事はシンプルに伝わってくる。

『君たちはどう生きるか』となかなか説教くさいタイトルだなぁと蓋をあけるとそんな事はなくて駿の優しさが詰まっていた。
まぁ生きていたら悪意に満ちた理不尽な事がそりゃ沢山あります。いや、むしろなんでこんな事になるんだろうって事しかない。そんな汚い世界、正直誰も見たくもないです。それでも主人公は自分にも悪意があると、その世界で生きる事を選ぶ。友達を見つけ、愛する人を見つけて精一杯このクソ汚ねぇ世界で生きてやりますと。
きっと駿はそうしてきた。世界は汚いままだったかもしれない。何も出来なかったかもしれない。けど信じ合える友達とも出会い世界に目を背けずちゃんと生き抜いた。
この世界をこれからどうするかは君たち若者が決めるんだよ、大丈夫、なぁ友達作れよ。と駿は優しく語りかけてきた。

さて、これはどう言う事か。もう少し優しくない説教くさい駿だと思って大胆に解釈してみよう。ズバリ!!
これは来たる仮想現実メタバース世界への危惧、そして拒否である!(エコー)
汚いものは見ずに綺麗なものだけ見て自分の世界に閉じ籠るのもそれは一つの選択肢?バカタレ!友達も作らずにメタバースに入って現実逃避するのか?おぉん?俺はメタバースなんてのはゴメンだね!ケッ!それでも辛いし悪意に満ちた現実で生きるんだよ!目を背けるんじゃない!友達作れバーカ!という未来を見据えた駿のメッセージも受け取る事が出来るのである!違うか!