OMU

君たちはどう生きるかのOMUのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

戦禍で母親を亡くし、母親の実家に疎開してきた主人公真人。
そこで見た「のぞき屋の青鷺」によって、とある場所に導かれ…。
--------

まさに宮崎駿の集大成といった作品でした。笑
セリフオマージュ満載。

というか久しぶりにジブリ作品を見たせいか、まず宮崎駿の絵作りのこだわりの異常さがちょっと常軌を逸しすぎててちょっと開始10秒ほどで「参った」宣言しそうになりました。笑 あれ?こんなだったっけ…!?
最近のアニメは絵も細やかで綺麗だし、派手だし、種類も豊富でだからちょっとしたものじゃもう驚かないなと思っていた矢先に、子供のころから慣れ親しんだジブリの凄さをまざまざと見せつけられた気がします。
緩急、コマ割りの数…とにかく異常だなと。スタッフ大変だったろうな…と思いますし、彼らの血の滲むような努力の結晶なんだなとも思いました。

私でも知っているようなアニメーターさんが何人か作画スタッフとして入っているのも見受けられましたし、(AKIRA、千年女優etc…)これまでの日本を代表するアニメ、といってやっぱり過言じゃない気がします。いやー凄すぎる。凄すぎる…。

子供が見たらトラウマになりそうだなあと思いつつ、思えば過去の作品もこれくらいグロテスクで過剰なリアリティに満ちたファンタジーだったなあと。

対して原作を読んでいないため原作の要素をどう落とし込んだのかとかはわからないのだけど、内容自体は本当にシンプルで、ファンタジックな世界と冒険を通して、母親をなくすというトラウマの克服と自分の非を認める強さを獲得し、新しい家族を受け入れる。ただただ、そんな話だったように思います。
ジブリといえば「母たる娘」な女の子キャラ、というイメージですが、今回も外れず。そんな中で夏子が「大嫌い」というシーン、人間味があって、めちゃくちゃ良かった。(ただその分見てるだけの私まで傷つきましたが笑)

最後宮崎駿とかぶるようなキャラクターである大叔父が、主人公に積み木を渡し、破壊され、大叔父から渡されたのではない、自身で勝手に選び取ったつみきのピースだけひとつ、ポケットに持っていく…。
なんだか宮崎駿のアニメを見た子供に託した願いな気がしちゃうけど、どうなんだろうか…。

ただ全体を通して幽玄であいまいな作りのため、エンタメとしては決して素晴らしいとは言い切れず、つまらなかったという感想もめちゃくちゃわかるなあと。
それでも見て良かったと、後から後からじわじわと感じ入る作品だなあと思いました。
また折りを見てもう一回見たいな。
OMU

OMU