Wakana

君たちはどう生きるかのWakanaのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

丁寧に注意深く生きることについて考えた、物を食べて(排泄し)、よく眠り(よく動き)、誰かに信頼を寄せることについて。その営みを通して何かを損なった人が回復していくことについて。また、人間にしか扱えない〈火〉が人間の意思を超えて誰かを傷つけてしまうことを。それでも火を扱う人間について考えた。
あと大おじのことも。わたしは監督の私的な象徴だと感じなかった。でも悲しい人であることは間違いない。塔に立て篭もることで悪意からは解放されたけど、そこが永遠に保存されることはなかったから。とはいえ、塔から出ればいいという話でもなくて(眞人が世界に戻るとき鳥たちも一緒にドアをくぐってしまったように)、現実には悪意が必ず存在するから気をつけろ、という強い主張も感じた。
なぜ鳥なのかということについて、あらゆる物事をすぐ忘れてしまう「鳥頭」とか他者の言葉を模倣する「おうむ返し」とか、鳥にまつわる負のイメージと〈大衆〉が結びつくからかなと思い、でもこんなのこじつけで、単にこれまでのジブリ作品の主要でない動物ということかもしれないな、とも思った。

これは母親を亡くした眞人が回復を図るために空想した物語かと想像しながら見ていた(早くに母親を亡くした知人が何人かいる。その人たちの顔が浮かんだ)のだけど、最終的に現実に起きた物語として回収されるんだね。夏子が塔に向かう理由がいまいち消化不良。
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